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病欠と有給休暇、欠勤Sick leave




概要

病気で休む従業員を欠勤扱いにする会社があります。病欠した従業員がいる場合は、有給休暇にすべきなのでしょうか、欠勤扱いにすべきなのでしょうか。
私はきちんと
有給休暇扱いにするのが良いと思っております。

なぜ欠勤扱いにしたがるのか

なぜ欠勤扱いにしたがる会社があるのか、ですが、欠勤扱いにすることで「病欠時の賃金を払わなくてすむ」ことが理由の1つにあります。給与の支給額を少なくするのが目的になっています。

しかし、
欠勤というのは、本来は懲戒処分に該当するものであり、もし欠勤する従業員がいた場合は、厳しく対処するのがあるべき姿です。
そこで、病欠の欠勤は良いが、無断欠勤はだめ、というルールができたりします。
このような運用ルールを場当たり的に作ると、賞与や昇級の査定の時などに整合性をとるのが難しくなり困ることになります。

なぜ欠勤にすべきではないのか

なぜ欠勤にすべきではないかと言えば、「欠勤」は、重大な規則違反であり、懲戒理由に該当するという意識を全従業員に徹底的に持たせる必要があるからです。
これは、会社の規律上の問題です。社内風紀や規律が乱れるとズルズルと雰囲気が悪化していきます。

例えば、2月に病気で欠勤扱いで5日休んで、3月に有給消化で10日休んだらどうでしょうか。少し極端な例ですが、この様な場合は対処に困ることになります。
「病欠は有給休暇を使わないから、いくらでも休める、そして元気になったら有給休暇を使おう!」となれば会社は困った事になります。

1年間で会社を休んで良いのは、病欠も含めて有給休暇の日数内とするべきです。
例えば、有給休暇が20日あれば、病欠や私用、冠婚葬祭等々含めて最大で20日という考えにするべきだと思っております。

この為、
1年を経過する前に有給休暇を全て使い切るというのは少し危険なので、病欠用に何日間かを残しておく、という考え方(企業文化)を根付かせるのが良いでしょう。

そして、欠勤になった場合は厳しく罰することで、会社に出勤するという強い義務感と、欠勤に対する危機意識が生まれます。

就業規則との関係

ほぼ全ての会社で有給休暇を取得するのは、「取得前のX日前に申請すること」となっていると思います。
この為、本来当時の朝に連絡してきても有給休暇は取得させない、というのが原則です。しかし、病欠の場合は特別に認めるのが良い運用だと思います。

就業規則に、始業後X分(時間)以内に連絡がない場合は、無断欠勤とする旨の規定がある場合は、無断欠勤扱いとなり、給与から欠勤控除されますし、賞与等にも影響が出ることになります。

いつ会社に連絡を入れるべきか

病気になった際に、いつ会社に連絡を入れるべきか、といえば当然始業前になります。
当然、会社が始まってから何時間も連絡なしに、その後連絡を入れるなどは論外です。
就業時間を過ぎても連絡のない従業員に対しては、病気の重症度を見て、本当に連絡ができない場合を除いて、厳しく注意を与える必要があるでしょう。

精神疾患との関連

近年、鬱病などの精神疾患が増えています。この様な従業員に対しても、基本的にはまず最初に有給休暇で対応し、長期化する場合は、休職とするのが良いでしょう。欠勤を使用する場面は少ないと思います。

まとめ

以上の様に、病欠に対する扱いは、給与の減額という目先の利益を考えるのではなくて、企業内の規律、風紀を健全な状態に保つ、という点に主眼をおいた運用にするべきであると考えております。

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