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移動時間は勤務時間?travel time

移動中は勤務時間?

移動時間は仕事中?

出張先や現場へ定時後や休日に移動した場合や、出張先や現場から定時後に直帰した場合の移動時間は勤務時間となるのでしょうか。

例えば定時後の17時から出張先や現場から移動、直帰する場合などです。
「仕事が終わって、3時間もかけて帰ってきているのに、それが勤務時間ではないとされると、その時間はいったい何なのか」といった質問を受けることがあります。

法律上、明確なルールはあるのでしょうか。


原則的には仕事時間ではありません!

出張中の移動時間や、現場に直行直帰する場合の移動時間(通勤時間)は労働時間とはなりません。この為、法定休日(日曜日)に前日移動が必要な場合でも休日出勤にはなりませんし、定時で業務終了後に3時間かけて帰宅するような場合でも労働時間にはなりません。

では、「移動時間は何なのか」、と聞かれれば「会社への出勤中の時間と同じ」、又は「休憩時間(昼休み)と同じ」、と言えます。

確かに従業員からすると、仕事が終わって3時間もかけて帰宅している時間は無駄に感じますし、会社からの指示によって現場が決まりますから、労働時間にして欲しいという気持ちは分かります。

しかし、移動中は自由に過ごせますし、会社の指揮命令下に入って業務をしているわけではありませんので、移動時間は労働時間との解釈にはなりません。


移動手当

長時間の移動に限り、移動時間や距離に応じて「移動手当」を支給している会社もあります。これは、従業員間の不公平感をなくす為でもあります。

例えば自宅から会社まで10分の所に住んでいる従業員AさんとBさんがいた場合、Aさんは通常通り10分かけて会社に行きます。Bさんは午前4時に起きて始発に乗って片道3時間の現場に向かいます。これを現場が終わるまで3ヶ月間続けます、といった場合、Bさんは相当不公平感を持つと思います。

これを緩和する為に、例えば、会社からの指示で所定労働時間外に現場に直行直帰する場合で片道100kmを超える場合とか片道2時間を超える場合に「移動手当」を支給することがあります。
同様に休日移動の場合、従業員からすれば貴重な休日に会社都合で移動をしなければならないので、その替わりに「移動手当」を支払うといものです。

この様な「移動手当」導入のポイントは、「移動時間は労働時間ではない。この為、手当は残業代ではない」、という点を明確にすることです。残業代ではないので、当然時給に換算すると残業代よりも低い額でも構いません。また、従業員の月給額によってリアルタイムに変化する必要もありません。現場が遠方にある場合は導入を検討されても良いと思います。


判例

 (平成6年9月27日 東京地裁判決 横河電機事件)

移動時間は労働拘束性の程度が低く、これが実勤務時間に当たると解するのは困難であることから、これらの条項から直ちに所定終了時間内における移動時間が時間外手当の支給対象となる実勤務時間に当たるとの解釈を導き出すことはできない。


通達

少し古い通達ですが下記があります。
(昭和23年3月17日 基発461号)
(昭和33年2月13日 基発90号)

(問)
日躍日の出張は、休日労働に該当するか。
(答)
出張中の休日はその日に旅行する等の場合であっても、旅行中における物品の監視等別段の指示がある場合の外は休日労働として取扱わなくても差支えない。

補足1

近年、モバイル環境が発達しておりますので、出張中の新幹線の中でも仕事をしている事があります。

スマホ1台あれば、簡単な内容であればメール返送や文章の修正までできてしまう時代ですし、「つながらない権利」という言葉も出てきました。

時代の流れとしては「移動中も仕事時間」となりつつあり、今後モバイル環境等の進化により法的な考え方も変化する可能性があります。


ご参考

出張の場合は家の敷地を出た瞬間から事故が起きれば業務災害になります。通常でしたら家から会社までの間の事故は通勤災害になりますが、出張の場合は業務災害になります。上記の通り労働時間にはなりませんが、労災にはなりますので、この違いにご注意下さい。



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