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法定休暇の拡張Extension of statutory day-off


概要

有給休暇や子の看病休暇など、法律で様々な休暇が会社に対して義務づけられています。会社によっては、この法定休暇を拡張されていることがあります。

ここでは、法定休日を拡張する際の注意点を記載します。


具体例

まずは、よくある事例からご紹介します。

有給休暇は2年間の時効がありますので、それを超えると残っている有給休暇を捨ててしまうことになります。

そこで、2年経過した有給休暇を別の名称、例えば積立休暇などの名称で蓄えておく会社もあります。


なぜ名称変更するのか

例えば有給休暇は積立休暇などの様に名称を変更する企業が多くあります。なぜ名称を変更するのかと言えば、有給休暇とは「別の休暇」として定義する為です。

これは、有給休暇のままだと法律上の規定が厳しく会社の負担が大きすぎて運用に耐えない為、運用できるレベルで「別の休暇」として定義することになります。

有給休暇とは違う(法令を上回る)休暇なので会社が自由に規定することができます。

これせずに、
単に有給休暇を5年間繰越せる、などとしてしまえば最大で100日の有給休暇の取得を1年間で許す事になり、事業に運営に大きな影響を与え現実的な制度としては運営できません


積立休暇

有給休暇の失効分を「積立休暇」とゆう名称で「別の休暇」として運用している企業は比較的多くあります。

積立休暇は、企業が独自に制度化するものですから内容は企業により異なりますが、概ね下記の様な規定になっているところが多い様です。

@日数の上限を規定する(40日〜100日程度)
毎年失効する有給休暇を積立休暇に組み入れて積み立てていきます。
無限に積み立てることができる企業はわずかで、ほとんどの企業が積立の上限日数を定めてあります。

A取得目的を限定する
例えば、病気や怪我の時などに取得を限定している場合もあります。
年齢が50歳を過ぎると大きな病気をする事もあります。この様な場合に備えての意味合いもあり、「入院で1週間以上」などの制限が加わる例もあります。

また、近年では家族の介護の為に取得できる企業もあります。


子の看病休暇

子の看病休暇という法律で定められた休暇があります。これは会社の時季変更権が認められていない等、有給休暇よりも取得しやすい休暇となっております。
(子の看病休暇を詳しく説明)

この休暇は、子供が小学生になる前まで使用できるのですが、これを中学生まで延長するなど、制度拡張される企業もあります。

ここでも、「子の看病休暇」ではなく別名の休暇にし、就業規則等で規定します。

子の看病休暇というのは、市販薬を飲んで様子見の場合や、予防接種、健康診断等でも取得できます。

そこで、子供が小学生以上の場合は、病気の時のみに使用でき、予防接種や健康診断等では使用できないようにする、などの制限を加えた上で、子の看病休暇の拡張版として導入します。

この様に、単に拡張するのではなく、企業としても負担が少なくできるラインを見つけて制度として導入するのが良い方法です。

多くの企業が、
法定基準の休暇にとどめている現状では、企業独自に休暇制度を拡張していくことは企業価値を高め、従業員のモチベーション維持、定着率の向上等が期待できます


まとめ

従業員にとって休暇は重要なものです。ただ、会社としても休暇申請されていない限り始業時間には席についている事が大前提です。どの様な理由があれ、欠勤は認められるものではありません。

そこで、いわゆる
有給休暇は法定通りにしておき、病気や怪我、介護など特別な場合に企業独自の休暇を付与することで従業員の離職を防ぎ、人財を確保するという考え方があります。

労使双方が納得できる制度を構築して、安定した労使関係の元で企業の発展が望まれます。


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