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子の看護休暇sick/injured child care leave



子の看護休暇

概要

有給休暇とは別に、小学校就学前の子供が病気や怪我ををした際に、看病為に休暇を取ることができます。意外に知られていない制度ですが、これは法律で決められている制度なので会社に申請すれば、日雇い以外の労働者であれば誰でも(※1)取得することができます。
(※1 労使協定で適用除外となる労働者を決めることもできます。後述参照)

特に小さい子供の子育て世代では、急な病気で会社を休まざるを得ない事が多々あります。
有給休暇とは別に取得できる
「子の看病休暇」は働くママやパパに心強い味方になると思います。ぜひ有効利用して下さい。


そもそもどんな制度

これは育児介護休業法に規定されているもので、育てている(子の条件で詳述)子供が小学生になるまでの間は、有給休暇とは別に「年に5日まで」休暇を取得することができる、という制度です。子供が2人以上の場合は10日まで取得できます。

これは、いわゆる
「有給休暇」とは別の制度ですので、有給休暇がないパートやアルバイトの方でも取得することができます

特に週2〜3日程度働いているパートの方は有給休暇が少ないです。働き始めてから半年間は有給休暇がないことが多いですし、半年経過後も3日〜5日/年程度しか付与されません。
子育て世代のママの場合は、学校行事などで3日程度有給休暇はすぐになくなってしまいます。その上、小さい子供は風邪などでも2〜3日程度休む事も多々あります。こうなってくると、結局「欠勤」という事にならざるを得ません。

そこで、
有給休暇とは別に子の看病休暇が助けになります。有給休暇とは別に、子供1人あたり5日/年ありますので、有給休暇は学校行事、子の看病休暇は病気の時、と使い分けることもできます。

しかも、
「子の看護休暇」は入社時点で5日/年(2人以上の場合は10日/年)が付与されますので、有給休暇がない方や少ない方には救いの制度だと言えます。


なお、子供の看病で有給休暇を取得しても問題ありません。有給休暇の場合は休んでもお金が出ますので、有給休暇に余裕がある場合は、有給休暇を取得する方が良いですね。


子の年齢

子の看病休暇が取得できるのは、対象の子供が「小学校就学の始期に達するまで」となっています。これは、「4/1から小学生になる子供で、その年の3/31まで」、ということになります。


子の条件

子の看病休暇が取得できる子供の条件は育児休業の取得できる子供と同じです。以下の条件となります。
@法律上の親子関係がある実子・養子
A特別養子縁組の監護期間中の子、養子縁組里親に委託されている子等

Aは、当該労働者を養子縁組里親として委託することが適当と認められるにもかかわらず、実親等が反対したことにより、当該労働者を養育里親として委託された子を含みます。

この様に条件が決められています。ざっくり言えば、自分が育てている子供が対象で、いわゆるお隣さんの子供が熱をだした、といった場合は取得できません。
(H29.1.1施行)


どんな時に休暇が取れるの?

主に下記の場合に取得できます。
@病気の看病
A怪我の看病
B健康診断
C予防接種

「子の看病休暇」という位なので子供が病気や怪我の時に通院の付き添いや家での看病等が必要な場合に取得することができます。

病気には、風邪など短期で治るものだけではなく、小児ぜんそく、若年性糖尿病といった慢性疾患も対象となります。

また、健康診断や予防接種でも取得できます。ここでの予防接種は予防接種法に規定されている定期予防接種以外(例えば
インフルエンザの予防接種でも取得できます。

子の看病休暇は、介護休業と違い、休暇が取得できる負傷や疾病の種類や程度に特段の制限はありません。この為、
「軽い風邪なので市販薬で様子を見る」といった場合でも、労働者が必要と思えば会社に申請できますので、後段で述べる医師の診断書等がなくても問題ありません。

ただし、当然ですが、幼稚園の運動会や園の行事などでは取得することができません。
この様な場合は普通に有給休暇を取得して下さい。


取得日数

子が1人の場合は1年に5日までとなります。2人以上の場合は10日になります。2人以上なので、3人でも10日になりますので、注意して下さい。

ただ、子供が2人以上いる場合、10日/年の休暇を全て1人の子の看病に使用してもかまいません。


取得単位

法律上は1日または半日単位(※2)の取得となります。
(※2 半日単位の取得はH29.1.1施行(育児介護休業法第16条の2第2項))

なお、1日の所定労働時間が4時間以下の労働者は半日単位での取得はできません。

もちろん、もっと便利に利用できるように
時間単位での取得を制度化しても問題ありません。厚生労働省の指針でも、この様に弾力的な運用を認めています。
この場合は、1日、半日、時間単位を自由に選択できる様にして下さい。


取得の申込み

紙面または口頭で会社に伝えます。口頭でもかまいません。子供の病気が事前に分かることは少ないですから、当然当時の朝に会社に電話をして伝える、という事もありますが、これも問題ありません。会社はこの様な場合でも拒むことはできません。


時季変更権

「子の看病休暇」は有給休暇とは異なりますので、会社には時季変更権がありません。すなわち「事業の正常な運営を妨げる場合」でも取得を拒否することができません。ここは有給休暇とは異なりますので注意して下さい。
(育児介護休業法第16条の3)

子供が病気等で看病する為に休暇を取る権利は、会社の事業の運営とは関係なく、会社には取得日を変更させるような権限はありません。当然ですが取得を拒むこともできません。


1年の単位

就業規則等で別段の定めがない限り、4月1日から翌年の3月31日までとなります。(育児介護休業表第16条の2第4項)

この為、自社の年度(会計年度)の単位で付与できる就業規則等できっちりと規定しておくのが良いでしょう。

有給休暇を年度初めに一斉付与している会社であれば、そにタイミングで「子の看病休暇」も一斉付与すると分かりやすいと思います。

なお、年度途中の中途入社の方も
入社時点で5日(子が2人以上なら10日)を付与する必要がありますので、注意して下さい。


前年度残の繰越

子の看病休暇の残日数の扱いは会社が自由に決めることができます。例えば有給休暇の様に翌年に残日数を繰越す規定でも良いですし、単年度で終了する規定にしても問題ありません。

有給休暇は労働基準法第115条で有効期限が2年間と決められているで、前年の残りの有給休暇を今年取得することができます。これは法律で決まっているので、会社が前年の有給休暇の残日数分を取得させない様な規定を作成しても無効になります。最低限前年残までは取得できる、ということです。

子の看病休暇には時効の定めがありませんので、前年残を繰越す必要はありません。単年度で考えて下さい。

この有効期限も子の看病休暇と有給休暇の違いです。


取得できる労働者(従業員)

日雇労働者以外の全ての労働者が対象になります。男女ともに取得できますし、パート、アルバイトでも取得できます。また、妻が専業主婦の夫であっても取得できます。

ただし、下記の労働者については労使協定を締結することで対象外とすることもできます。
@入社してから6ヶ月未満の者
A週2日以下の出勤の者

ポイントは、パートやアルバイトの主婦でも取得できることです。例えば1日3時間で週3日程度しか働いていないパートの主婦でも、たまたまパートの日に子供が熱を出した、というような場合に取得できます。


有期雇用者や中途入社、時短(パート・アルバイト)の扱い

例えば6ヶ月の有期雇用であっても5日間の「子の看病休暇」を与える必要があります。有給休暇とは違いますので、最初の半年間は付与しないとか、比例付与的に3日間だけにするなどは認められておりませんので、注意して下さい。

例えば週3日しか働いていない1年契約のパートの主婦でも、入社初日から年5日間(子が2人以上なら10日間)取得することができます。働きはじめの時は有給休暇がないことが多いと思いますが、子の看病休暇は取得できますので、大いに活用して下さい。

また、有給休暇のように比例付与などはありませんので、働き始めた直後であっても5日間フルに取得できます。子育て世代には心強い制度だと思います。


給料は出るの?

子の看病休暇中を有給にするか無休にするかは会社の自由になります。この為、無休の会社では、月給制の場合は休暇日数分の賃金が減額されることになります。

企業規模等にもよりますが「無休」の会社が多いようです。

ここが有給休暇との違いです。有給休暇とは別に取得できますが、無休の会社が多いので、自社ではどうなのかを確認する必要があります。


欠勤との違い

子の看護休暇は、法律で定められている休暇ですから、懲戒対象となっている「欠勤」とは異なるものです。

この為、
休暇を取得した日数以上の賃金の減額や、賞与や昇給などにおいて差別的な取扱いをすることは禁止されています。

また、遅刻・早退・欠勤ではありませんので、皆勤手当がある会社では原則支給することになります。ただし、精勤手当の額が少額であり、実質的に「権利行使を抑制していない」と判断されるような場合もあり、不支給になったからと言って直ちに違法とは言えません。


医師の診断書等

子の看病休暇は、病気や怪我、健康診断、予防接種等で取得できますが、本当にこれらの用事で休暇を取得しているのかを会社として確認したい時があります。

そこで、
会社は医師の診断書等を提出させることができます

また、
診断書でなくてもかまいません。保育園や幼稚園の欠席の証明(連絡帳の写しなど)や医療機関の領収書などでも問題ありません。

また、「市販の風邪薬を飲まして様子を見た」といった場合でも子の看病休暇を取得することができます。この様な場合は
薬局の領収書などでも問題ありません

もし、
労働者が提出を拒んだ場合でも、「子の看病休暇」自体は有効なので、証明書類を提出しないことを理由に取得を取り消すことはできません。「欠勤」扱い等にはできません。


不利益取扱の禁止

「子の看護休暇」を取得したことで「賞与に響く」など昇進・昇格や昇給などで不利益な評価をすることも違法です。もちろん退職金についても同様です。


基本的な考え方(有給休暇との違い)

子の看病休暇は育児介護休業法に規定されており、有給休暇は労働基準法に規定されています。法律が違うので様々な点で異なります。同じ会社の中で取得できる休暇なので従業員の皆さんからすると同じような感覚になるかも知れませんが、全く別物、として考えて下さい。
別々の法律の規定を混ぜて解釈されている方が、人事専門の方でもいらっしゃいます。どの法律や通達が根拠になっているのかを明確に意識する必要があります。


他の休暇

この他にも法律に定められている法定休暇が色々とあります。有給休暇だけではありませんので、各種休暇をうまく使うことで、仕事を継続できるように頑張りましょう。


まとめ

子の看病休暇という制度は有給休暇とは別に5日の休暇が取得できます。特にパートやアルバイトをしている主婦の皆さんには心強い制度だと思います。

なかなか知らない人が多いのですが、有給休暇が十分になくても、子供の病気や怪我の場合はきちんと休めますので、仕事をする上での大きな安心材料になると思います。
各種制度を知ることで、働きに出ようという気持ちが後押しできれば良いと思っています。

ただ、残念な事に、この制度を十分に理解されている会社が少ないのも事実です。まずは会社に「子の看病休暇」を取得したい、と伝えて下さい。
もし会社がはっきりしないようだと、この記事を印刷してお持ち頂くのも良いかもしれません。

いずれにしましても、この制度が働くことをためらっている女性の皆さんがの後押しになればと思っております。


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