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雇入れ時の健康診断記は会社のお金で実施!!



概要

従業員を雇い入れると、雇い入れ時の健康診断を実施する必要があります。
この健康診断は、法律で義務付けられているものです。

この健康診断が免除される場合があるのですが、それが3ヶ月以内に従業員が受信した健康診断の結果を会社に提出した場合です。

このように、従業員が、自分で受信した健康診断の結果を、会社に届け出ることによって、会社は雇い入れ時の健康診断を免除されることになります。

これを悪用して?、と言う事かもしれませんが、
入社が決定した従業員に対して、健康診断を受診して、結果を会社に提出するように指示している会社もあります。

実は、これ問題があります。



ポイント

雇入れ時の健康診断は、会社が費用負担して実施する必要があります




そもそも雇い入れ時の健康診断が義務付けられているのは会社であり、従業員ではありません。


採用が決まった直後の従業員は、会社に対してあまり文句を言う事はありません。

退職が決まった従業員の場合は、いろんな注文を会社につけてくることがあります。しかし入社が決まった直後の従業員は、会社に対してはすごく順応で何でも言うことを聞く状態にあります。


これを、
悪用して、本来会社がすべき行為を、従業員に押し付けている会社もあります。これは、まさに弱い者いじめであり、人としてやってはいけない行為だと思います。

法律的にどうのこうのと言うよりも、会社が負担する必要がある、ということを知っていながら、従業員に押し付ける、そのような社長が経営している会社、と言うのはいかがなものでしょうか。
たかだか1人数千円の健康診断費用すら出さない会社に、入社すると後悔するかも知れません。


法的な話

従業員を雇用した際の、健康診断(=雇入れ時の健康診断)は、安全衛生法施行規則第43条で規定されています。これは、事業主(会社)の義務として規定されております。

雇入れ時の健康診断をしないことは、そもそも違法です。

会社の義務ですから、健康診断費用は当然会社が負担する必要があります。

小規模な会社で、創業まもなくて、経験の浅い社長が、そもそも知らなかった、という場合もあります。この様な場合は、仕方がないのかも知れません。

しかし、設立して何年も経過しており、しかも
社会福祉法人などの公益性を持った法人ですら、従業員に健康診断を本人負担で受けさせ、結果を提出するように指示している場合もあります。これは、さすがに悪質ではないでしょうか。


通達

会社が費用負担をする、というのは行政通達で出されています。
「昭和47年9月18日基発第602号」の第六六条関係に記載されています。

(2) 第六六条関係 
 イ 第一項から第四項までの規定により実施される健康診断の費用については、法で事業者に健康診断の実施の義務を課している以上、当然、事業者が負担すべきものであること。
 ロ 健康診断の受診に要した時間についての賃金の支払いについては、労働者一般に対して行なわれる、いわゆる一般健康診断は、一般的な健康の確保をはかることを目的として事業者にその実施義務を課したものであり、業務遂行との関連において行なわれるものではないので、その受診のために要した時間については、当然には事業者の負担すべきものではなく労使協議して定めるべきものであるが、労働者の健康の確保は、事業の円滑な運営の不可決な条件であることを考えると、その受診に要した時間の賃金を事業者が支払うことが望ましいこと。

通達リンク
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb2043&dataType=1&pageNo=1


まとめ

費用負担をまとめると下記となります。

 受診費用 会社が負担する 
受診時の給与  支給することが望ましい 


バレない、誰もしらない、はもう通用しない

今の時代、スマホで様々な情報に簡単にアクセスできます。「バレない」という考え方はもう古いと思います。

大学生のアルバイトが労災を申請し、23時以降の深夜割増があるバイトを探し、最低賃金の高い隣接都道府県にバイトを探す時代です。

特に高齢社長は、若い人の情報収集能力が、相当に高い事を自覚する必要があるでしょう。



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法律(参考)

 労働安全衛生規則

(雇入時の健康診断)
第四十三条 事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。ただし、医師による健康診断を受けた後、三月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでない。
一 既往歴及び業務歴の調査
二 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
三 身長、体重、腹囲、視力及び聴力(千ヘルツ及び四千ヘルツの音に係る聴力をいう。次条第一項第三号において同じ。)の検査
四 胸部エックス線検査
五 血圧の測定
六 血色素量及び赤血球数の検査(次条第一項第六号において「貧血検査」という。)
七 血清グルタミックオキサロアセチックトランスアミナーゼ(GOT)、血清グルタミックピルビックトランスアミナーゼ(GPT)及びガンマ―グルタミルトランスペプチダーゼ(γ―GTP)の検査(次条第一項第七号において「肝機能検査」という。)
八 低比重リポ蛋 白コレステロール(LDLコレステロール)、高比重リポ蛋 白コレステロール(HDLコレステロール)及び血清トリグリセライドの量の検査(次条第一項第八号において「血中脂質検査」という。)
九 血糖検査
十 尿中の糖及び蛋 白の有無の検査(次条第一項第十号において「尿検査」という。)
十一 心電図検査