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障害者の雇用Employment of people with disabilities




概要

企業には障害者を雇用することが法律で義務付けられています。ただし、全ての企業ではなく従業員が46人の会社に義務付けられています。

ここでは、障害者雇用を目前に控えた企業向けに、実際に雇用して仕事をしてもらう上で必要なノウハウをまとめました。

障害者の種類

まずは、基礎的な知識からです。障害者雇用の対象となる障害者は下記の3種類に分類されます。

@身体障害者
視覚、聴覚、言語、肢体不自由などの障害者です。
「身体障害者手帳」をお持ちです。

A知的障害者
「療養手帳」をお持ちです。

B精神障害者
統合失調症や双極性障害、アルコール依存症などです。精神障害者の方は「精神障害者保険福祉手帳」をお持ちですが、この手帳には病名は記載されておりません。

従来は身体障害者と知的障害者のみでしたが、H年月から精神障害者が追加されました。


障害者雇用義務

障害者の雇用義務があるのは、従業員数が46人上の事業所です。従業員数が46人になれば内1名が障害者となる必要があります

ただ、この46名は
事業所単位です。会社全体ではありません。従業員数が40〜50名程度になると支店を設けている会社も多いと思います。
特に地方の会社では関東に支店を設けている事が多いです。この場合、会社全体で46名ではなく、事業所単位で46名を超えた場合に障害者雇用の義務が発生します。

例えば、本社に40人、東京支店に10人の場合、会社全体では50人の従業員がいますが、事業所毎にみると46人未満まので、障害者雇用義務はありません。

(※)
厚生労働省が定める障害者雇用率というのがあります。この数字が2.2%です。要するに従業員数100人に対して障害者を2.2人雇用する必要がある、という意味です。


従業員数のカウント方法

次に障害者雇用の基準となる「46人の従業員」の数え方を説明します。

まず、正社員に加えて、パートやアルバイトも含みます。

パートやアルバイトは、週30時間以上働いている人が対象となります。また、雇用保険では対象外となっている昼間学生のアルバイトなども従業員に含める事になります。

基本的には週30時間以上働いている従業員が46名になると障害者を1名雇用する必要がある、とお考え下さい。

実務的には
従業員が45名になった時点で、次に雇用する時には障害者を1名含んでおく必要がある、と考えて頂くと分かりますと思います。


障害者雇用率の特例

障害者雇用率は2.2%(平成30年4月以降)ですが、障害者を雇用すると危険度が高まるような職種では特例として、別途雇用率を定めています。
建設業、医療機関、保育園などです。




障害者の仕事

実際に障害者を雇用した場合、どの様な仕事があるのかを考えてみます。もちろん、雇用した方の障害状況により、できる仕事は異なりますので、一概に言えるものではありません。

以下は、実際に障害者を雇用されている会社の事例になります。

【具体的な仕事の例】
@掃除(清掃作業)
社内の清掃、窓拭きなど。

A緑地管理などの軽作業
芝生や玄関周りの広場の管理。会社の顔になる部分。

B資料の分別
リサイクルに出すために、白紙/色付紙に分別する。毎週、毎月発生する事もあれば数ヶ月に1回の場合もある。これは会社により異なります。

C請求書等の発送業務
毎月発生する請求書の発送などの発送(郵送)関連の処理も担当されている会社もあります。日本は商習慣で毎月の請求書払いが多いので月末などは大量の処理が発生します。この様な比較的ルーチーンとなる業務などが向いています。

Dテープおこし
会議の音声データのテープおこしや、タイムカードの電子化などです。

Eスキャン
保管義務のある書類などをスキャンして電子データの形で保管する事があります。このスキャン業務です。請求書なども電子データ化することもあります。

F会議室の設営
セミナや研修会を開催する時の会場設営です。

G事務作業の一部代行

H制服のクリーニング業務

既存のクリーニング会社と競合しない分野での需要に応える。

I伝票入力などの定常業務

J総務部内の定常的な業務

K健常者と同様の業務

障害のレベルによっては、健常者と同程度の仕事ができる場合もあります。もちろん出張なども問題なくこなし、特定分野では健常者以上の能力を発揮される事もあります。

社内で時間がかかって非効率な作業や、まとめてアウトソースしたいと思っている様な作業を障害者の業務とすることも一案です。
どの様な作業を障害者に担当してもらうと、他の従業員の生産性が向上するか点で探すのが良いのです。


作業手順の明確化

障害者に担当してもらう業務については、すべての作業について、手順と標準的な作業時間を定めます。新入社員は実習で指導員や先輩社員から手順を教わります。

作業手順は紙面の作業手順書を作成するのは必須ですが、それのみでなく動画を作成することもあります。文字や視覚情報で確認することができる手順書では、よりミスがなく正確に早く作業をすることが可能になります。

また、障害者も手順書に自分でメモを書き込んだり、新たにメモを取ったりして、自分で仕事ができる様な書物の作成を徹底的していく必要があります。


指導員

指導員は、障害者が時間内に正しく作業が行えるよう、指導する役割を担います。

指導員が複数名いる場合は、指導員ミーティングを開催します。このミーティングでは、指導員同士の情報共有や指導方針のすり合わせ、作業手順の改善などを行います。これは、管理職の評定者会議などと同じです。指導員によるバラツキを抑えて、均一な指導ができるようにします。

指導員の勤務日が異なる場合は、全員が揃う日にミーティングを行います。

障害者の障害は個性と同じだと考え、個人を尊重しなから指導することが重要です。

指導員の数は、業務内容等によって異なると思いますが、自分の業務と兼任しながらの指導員であれば1対1が良いです。
また、ある程度指導員業務に専念できる場合であば、3名程度の障害者に指導員1名が良いでしょう。


体力と習熟度

障害の種類によっては1日の仕事ができる体力がない方もいらっしゃいます。その様な場合は、きちんとした体力作りも重要な要素になります。

また、精神障害者の方は、夜眠れない、朝起きれないなどといった生活サイクルを維持することが困難な場合もあります。

障害者も習熟度が上がると様々や業務を早くできるようになりますので、習熟度に応じて担当業務の幅を拡大していきます。


体調管理と業務管理

障害者は、出社後、自分の健康状態を社内掲示された表に記入します。指導員はこの表を見ることで、障害者の体調を把握し、適切な配慮ができるようになります。
また、作業日誌を付け、この日誌を持ち帰り親御さんに見せることで安心感を得る事もできます。

障害者雇用では、家族や支援機関などとの情報共有も重要になってきます。


障害者の定着率

障害者の種類と平均勤続年数は下表の通りです。
(平成25年調査)
 身体障害者 10年 
 知的障害者  7年9ヶ月
 精神障害者  4年3ヶ月

身体障害者の方の定着率が最も高く10年を超えています。これに対して精神障害者の方の定着率は低めです。
仕事を始める事で、病名の悪化などが起きる場合があり、また職場の理解を得る事が難しいことも遠因になっていかと思います。


特例子会社

障がい者の雇用の促進及び安定を図るため、事業主が障がい者の雇用に特別の配慮をして設立した子会社のことです。例えば兵庫県内は27社あります。


まとめ

障害者の雇用について実務的な側面からの記事になりました。如何でしたか。

初めて障害者の方と一緒に働く時は経験もなく不安なものだと思います。様々な支援センターもありますので、従業員が40人を超えた辺りで知識を増やして検討を始めて頂くのが良いと思います。



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