本文へスキップ

吉田Webマガジンは吉田Webマガジンは、人事・労務管理を中心に様々分野の記事を掲載しています。

Powered By 吉田労務管理事務所

社会保険の新規適用(任意適用)
voluntary enrollment of social insurance

社会保険の任意適用

社会保険は、厚生年金と健康保険で構成されています。この社会保険は、株式会社などの法人であれば社長含め強制適用(法的に加入する義務がある)になっています。
(※強制適用になるのは、1週の労働時間が正社員の概ね3/4以上となる者)

従って、強制適用の事業所で正社員などの加入の対象者であれば、自身の意志に関係なく強制的に加入する必要があります。ここで、「私は入りたくないので、加入しません」などと選択はできませんのでご注意下さい。


ただ、
従業員が5人未満の個人事業所の場合は「任意適用」となっています。「任意適用」の事業所では、加入が法的に必須ではありませんので、加入する必要がありません。ここでいう5人未満とは、加入することになれば被保険者(加入対象者)となる者のみでカウントした人数です。

例えば、個人経営の飲食店などで週10時間程度の学生アルバイトが30人いて、正社員が2名の場合、従業員数は32人になりますが、社会保険への加入対象者は正社員2名のみとなりますので、「5人未満の個人経営」となり、この場合でも「任意適用」のままです。法的な加入義務は発生しません。


任意加入するための第1歩

では、実際に任意適用の事業所が社会保険に加入しようとした場合、まず加入対象者の従業員(被保険者となる従業員)に対して加入の同意を得る必要があります。社会保険料は従業員も負担するため、このような同意が必要になります。

同意は全従業員から得る必要はありません。加入対象者の1/2以上の同意があれば加入することができます。ただし、加入するのは事業所単位で加入しますので、反対した者も含めて全員が加入することになります。
「私は反対したので、加入しません」といったことは出来ませんので注意が必要です。


加入手続き

個人事業所が任意適用で社会保険に加入する場合、法人などの強制適用と違い、作成する手続き書類も多く、添付資料も膨大になります。

専門家以外で作成して届出るのは結構難しいのですが、どの様な手続きをすれば良いのかを概観していきます。


必要書類(届出書)

任意適用の場合、大きく分けると下記の書類が必要になります。
① 新規適用届
② 保険料の銀行振込申込み
③ 任意適用申告書
④ 任意適用の合意書


① と②は、任意適用ではなく通常の強制適用の場合でも必要になる書類で、全く同じものです。

 新規適用届(裏表両方あります)
 


事業の種類は年金機構から出ている分類表に従って記入します。


③と④は任意適用の場合にのみ必要となる書類です。③は、加入対象となる従業員の合意書になります。記名押印をもらいます。この合意書は全従業員の合意が必要なわけではありません。
加入対象対象の従業員の2分の1以上の合意があれば任意適用(加入)できます


 任意適用申告書&任意適用の合意書
 



事業主が準備する添付資料類

任意適用の場合、事業主さんは個人事業主になります。(法人の場合は強制適用(加入)です)
この為、
個人事業主本人の下記書類、1年分を準備して添付する必要があります。
① 国民年金の納付書
② 国民健康保険の納付書
③ 所得税の納付書
④ 業税の納付書
⑤ 区町村民税の納付書(事業主さんの住所地に納付しているものです)


量が多くて大変ですし、全てが揃っていない場合があります。その様な場合は、きちんと理由を説明することが必要です。

その他に事業主が準備する書類としては、
① 住民票(世帯全員分)
② 会社の賃貸借契約書(店舗等を賃貸借している場合)

が必要となります。
任意適用の場合、事業主が個人になりますので、住民票も必要になります。なぜ、世帯全員分が必要なのか、は疑問が残りますが、準備する必要があります。



被保険者資格取得届

任意適用の届けと同時に、実際に加入する従業員の「被保険者資格取得届」も同時に提出します。この被保険者資格取得届は、電子申請でも届けできますが、任意加入の場合は、本稿で記載している各種届出及び添付資料と同時に届出るのが良いでしょう。

「被保険者資格取得届」の作成には、下記書類が必要になります。賃金台帳と出勤簿は添付して提出する必要はありませんが、被保険者資格取得時の標準報酬月額を決定する際に必要になりますので、必ず準備して下さい。
① 賃金台帳(直近3ヶ月分)
② 出勤簿(直近3ヶ月分)


また、被保険者資格取得届けには、下記の情報が必要になりますので、事前に収集しておきます。
① 氏名(よみがな)
② 礎年金番号
③ 年月日
④ 現住所(郵便受取、かなも必要)
⑤ 取得区分(新規か再度か)
⑥ 取得年月日


基礎年金番号は年金手帳に記載がありますので、そちらで確認します。もし、年金手帳が見当たらない場合は、
国民年金の領収書や年1回誕生月に届く「ねんきん定期便」でも確認することができます。諦めずに探すと見つかることが多いです。
なお、年金手帳を紛失している場合は、同時に再発行手続をします。

任意適用での注意点は、⑥取得年月日です。通常の強制適用事業所の場合は、入社年月日になりますが、
任意適用の場合は、いつから適用になるかは国が決めますので、この欄は空白で提出します。

 被保険者資格取得届
 


その他付随する手続き書類

① 健康保険被扶養者(異動)届・国民年金3号被保険者届
② 健保厚年資格取得届
③ 年金手帳再交付届→年金手帳の紛失時に提出します(以外に多いです)


「②健保厚年資格取得届」は、被保険者の現住所の市役所に届出します。これは、国民年金・国民健康保険の脱退届けとなります。ご本人が提出されることが多い様ですが社労士が代行できます。


提出先

書類一式ができたら、都道府県の年金事務センターに郵送します。
電子申請でも可能ですが、添付資料が大量になりますので、郵送が最適でしょう。



スポンサーリンク

適用されるまでの時間

事務センターに直接郵送した場合だと、大体2週間から1ヶ月程度で健康保険の保険証が会社に届きます。

お問合せ

健康保険・厚生年金の任意適用は大変煩雑で手間がかかります。年金事務所の窓口で教えて頂きながら準備することも可能ですが、各種添付書類が正しいのか間違えているのかの判断も迷う時があります。この様な手続きは、専門家(社労士)に依頼頂くのが一番早く低コストで処理することができると思います。
社会保険の加入でお悩みの方は一度ご相談下さい。















関連記事


スポンサーリンク