年金事務所による社会保険調査Investigation by the Pension office
概要
毎年7/10までに社会保険の算定をする必要がありますが、この際に年金事務所による調査が実施されることがあります。これは「算定調査」と呼ばれているもので、無作為に事業所に対して実施されます。
毎年、年金事務所から来る算定の封筒に、調査対象である旨の黄色のA4用紙が入っています。
この用紙が調査の通知書です。この通知書が入っていたら、まずは、通知書に記載されている書類一式をそろえます。
調査に際して揃える書類
一般的には下記の書類が必要になります。
@ 賃金台帳
年金調査は前年度に対して実施されますので、昨年度分+今年の6月分までが必要になります。 ここでの昨年度とは前年の4月から今年の3月までを指します。
A 出勤簿(タイムカード)
B 所得税徴収高計算書(領収書)
年金事務所により準備依頼の内容が異なることもありますし、社会保険を適用した後で数ヶ月以内に実施される「新規適用の調査」では上記に加えて労働者名簿や雇用契約書、標準報酬月額の決定通知書等が必要になります。
調査の流れ
調査にかかる時間は早ければ10分程度です。長い場合は30分以上かかる場合もあります。
年金事務所により違いはあるかも知れませんが、大きな流れは下記となります。 まずは、算定結果を記載した書類3枚を手渡します。
@算定基礎届
A総括表
B総括表 附表
この3枚を年金事務所の職員さんがチェックしていきます。この間大体10分程度です。
その後、賃金台帳、出勤簿、源泉税納付書を確認して、特に漏れている被保険者がなければ無事に終了となります。
ただ、ここで、賃金台帳、出勤簿、源泉税納付書に不整合があったり、本来社会保険に加入すべき人が未加入であった場合などは指摘を受けますので、きちんと加入手続きをする必要があります。
社会保険は、正社員と比べて3/4以上の労働時間となる人は加入義務が発生します。賃金台帳には、出勤日数と勤務時間を記載することが法的に義務づけられ
ておりますので、この欄を見ることで、未加入の従業員いるかどうかを年金事務所の職員さんが判断されます。
もし、ここで週30時間を超える様な方が未加入であれば指摘を受けることになります。 源泉税の納付書は、賃金台帳の額と照合して賃金台帳に間違いがないかを確認する際に使用します。
源泉税の納付書が正として扱い賃金台帳をチェックするイメージです。 出勤簿も同じ様に使用されます。
役員の場合
役員の標準報酬月額 社長含む役員の標準報酬月額の変更がある場合は、下記の書類が必要になります。
@取締役会議事録 又は 株主総会議事録
A決算書
個々の役員の報酬額は取締役会議事録に記載があるので、そちらで確認します。 株主総会議事録や決算書は役員報酬の総額が記載されていますので、確認用です。
もし、株主総会議事録に個々の役員の報酬額が記載されている場合は、それでもかまいません。
得喪、月変などの届出 新規採用されたり退職した従業員の被保険者資格の取得、喪失届けが未提出の場合は、算定調査の際に、まとめて提出することができます。
もちろん、異動があった場合は5日以内に取得、喪失届を提出する必要があるのですが、もしまだできていない従業員分があれば、算定調査までに提出するか、遅くとも算定調査の際に同時に提出する様にします。
実際の調査対応 この調査は、社労士に依頼して代理で行ってもらうのが良いと思います。 調査の通知書以外にも必要な書類がある場合もあり、なんども出し直しになったり、手間がかかります。
ここで社労士に依頼すると必要な書類が全て分かっておりますので、調査もスムーズに終わり、また会社の方が年金事務所に行く必要もありません。 もちろん顧問契約をしている社労士がいなくても、算定調査だけスポットで受けてくれる思います。
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社労士以外に委託すると違法です!
税理士さんや会計士さんが算定をすることはできません! まれに税理士さんや会計士さんが「算定書類程度なら作成しますよ」と言われる方がいらっしゃいます。
もちろん社労士以外が報酬をもらって代理で作成したり提出すればと違法となりますが、あまりに気されていない税理士さんや会計士さんも中にはいらっしゃいます。
税理士さんが作成された賃金台帳や社会保険料の数字がおかしいので確認等で電話をすると、
「いや、もーゴチャゴチャ言うなら私が算定しますよ!」と社労士に対して堂々と言われる方もいらっしゃるので驚く事があります。
ただ、このような法令遵守意識の欠落した(勘違いされている)税理士さんや会計士さんでも、「年金事務所の算定調査に代理で行って下さい」と言えば絶対に行かれないと思います。代理で行っても社労士以外だと相手にしてもらえないですし、何よりそこまでの経験も知識もありません。
このように、税理士さんや会計士さんが片手間で賃金台帳を作成して算定を行い、いざ調査になったら社労士に丸投げするという例もあります。
全ての書類がバラバラで、どのような基準で標準報酬月額を算出されたのかも分からないこともあり、結果的に多額の保険料を追加で徴収されることもあります。
1度だけ算定書類を作成して後は何もしない税理士さんや会計士さんもいらっしゃいます。
もし、税理士さんや会計士さんが「算定書類は私の方で作成しておきますよ」と言われたら、危険ですので、十分に注意して下さい。
そのような事があれば、一度、各都道府県にある社労士会にご相談下さい。
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