給料給料の銀行振込Bank transfer of salary
概要
給料は銀行振込されている方が、ほとんどだと思います。ただ、法律上は「現金払い」が原則となります。「賃金支払の5原則」という法律上の定めがあり（労働基準法第24条）、通貨（現金）で、直接本人に、全額を、月1回上、一定期日（同じ日）に、支払う必要があります。
毎月給料が支払われるのも法律で定められているからなのですね。
今回のテーマは、給与の銀行振込です。現金で直接本人に渡すことが法律で規定さていますが、アルバイトを含めほとんどの方が銀行振込で給与を受け取っていると思います。
この点について、詳しく見ていきましょう。
給与の銀行振込
給与を銀行振込にする場合は、従業員さん本人との個別合意が必要になります。これは、労働組合や労働者の過半数代表との合意で代用することができません。個々の従業員との合意が必要になります。もちろん、「就業規則に記載があるから銀行振込です」ということもできません。
この個別合意は口頭でも問題ありません。実務上は、雇用契約書に銀行振込あることを含めて合意したり、銀行口座番号を会社に提出することで合意とすることが多いと思います。
【参考：条文】
労働基準法施行規則 第七条の二
使用者は、労働者の同意を得た場合には、賃金の支払について次の方法によることができる。
一 当該労働者が指定する銀行その他の金融機関に対する当該労働者の預金又は貯金への振込み
学生アルバイト
成人で運転免許証等を保有している方は、ほぼ問題なく銀行口座が開設できますが、学生アルバイトの場合、銀行口座が作れない事もあります。近年、銀行口座の新規作成が厳格になっており、この関係で、高校生や大学生のアルバイトが銀行口座を作る時にスムーズにいかないことがあります。
以下、実話を元にご説明します。
口座開設には本人確認が必要なのですが、写真付きの学生証を持って行っても、私学だと証明証にならない、と言われ口座が作れないということがありました。
公立と私学の差がどこにあるのか理解できませんが、銀行は「法律で決められているから」との杓子定規の回答だったそうです。
もちろん、法律で「私学はダメ」と決められているであれば仕方がないでしょうが、銀行の態度や言動次第では途方に暮れてしまう学生さんもいらっしゃるでしょう。
他の証明書と言っても、健康保険証は写真がないから、もう1通証明書が必要と言われます。この場合はマイナンバーカードくらいしかないと思います。
また、高校生の場合は運転免許証がないことも多いですから、写真付きの証明書で残さているのはパスポートくらいです。
実際には、保護者の証明書などがあれば、子供名義で口座が作れるようです。生まれた赤ちゃんの口座を作ることもできますから。
ただ、銀行窓口の対応者次第では、親が同伴しているにも関わらず「保護者の証明があれば作れる」などの説明を一切せずに、「学生証では作れない」と言って、半ば追い返した銀行がありました。大手都銀で実際にあった話です。
アルバイト先から銀行が指定されていることも多く、自分から銀行を指定できなのが一般的で、他行に相談に行くことも難しいでしょう。
犯罪防止の観点から、口座作成が厳格になるのは良いことですが、学生アルバイトが必要な口座すら作らせない銀行の態度も問題だと感じております。
なお、親の口座に振込むというのも「（本人に）直接払い」という原則に違反します。たとえ、未成年であっても親権者である親に支払うことは違法となります。
銀行口座が作れない時の対応
学生アルバイトが銀行口座を作れない場合、会社の対応としては、やはり「現金」で払う必要があります。振込手数料
振込手数料は会社が負担する必要があります。振込手数料を従業員が負担すると、給与から控除されることになりますので、「全額払い」の原則に違反します。これは、従業員から口座を指定した場合も同様です。会社にとって振込手数料が必要な銀行口座を従業員から指定される場合もありますが、それを理由として無理やり変更するのも問題です。
まとめ
今回は、給与の銀行振込が普通になりすぎて、それが当然だと思っている方が多いと思いますが、そうではありません。銀行口座が無いことを理由に給与の支払いを遅らせるや保留するなどはできません。その様な場合は、給与日に「現金」で支払う（受け取る）様にして下さい。
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