定年後の仕事Work after retirement
概要
55歳過ぎあたりから、会社によっては役職から外れる役職定年が始まります。役職定年がない会社でも、これ以上の出世が見込めない時から「会社の名刺に頼らない生き方」をしていく必要があります。
会社で出世すればするほど、「自分が偉くなった」気になります。例えば部長などは、街で部下にあっても上から目線で話をしますが、本来は会社から離れたプライベートでは上下は関係ありません。しかし、会社組織に属している限りプライベートでも「上」に扱ってもらえるので、勘違いしてしまいます。
55歳を超えて出世を続けると、この事が永遠に分からないまま65歳前後で会社を辞めることになり、その後の生活が大変辛いものになります。
今回は、会社の肩書からどの様に離れるのが良いのか、そしてその後、どの様に仕事をして行けば良いのかをお話します。
会社は一種の危険な村社会という事実
会社では上司は絶対的な存在ですが、一歩外の世界に出るとただの人です。会社では恐れられている上司も近所の人からすれば、ただの「おじさん」でしかありません。誰も何も感じません。
この為、プライベートでは「自分は偉いんだ」という意識を徹底的に捨てる必要があります。それこそコンビニにアルバイトに行き、若い子に指示されながら仕事をするくらいの気持ちが必要です。
また、逆に仕事が辛くて自殺するくらいなら会社を辞めれば良い、というのは心身ともに健康な人の考え方です。実際には会社を辞めないで自殺する人が毎年いらっしゃいます。
会社は思っている以上に恐ろしい村社会で、上から下まで洗脳されているに近い状態です。ある意味強烈な縦社会と言えます。
官僚などの汚職事件を見ていると恐ろしくなることがあると思いますが、民間企業でも同じです。
仕事の基本は上意下達で進めることです。しかし、これと私生活は別物である、ということをしっかり意識する必要があります。
役職は借り物
「課長」や「部長」、「本部長」などの肩書は会社からの「借り物」、レンタル品です。期間限定で付与されているだけなので、いずれ確実に返却しなければなりません。課長から部長に出世した場合も同様で、課長というレンタル品を会社に強制的に返却させられ、「部長」というレンタル品を強制的に押し付けられる様なものです。「イヤ」とは言えません。
55歳で役職定年になる時も同じです。期間限定で付与されていた「部長」というレンタル品を会社に返却しなければなりません。
この事実をしっかりと見据えて、役職にあぐらをかくのではなく、人としての成長を続ける必要があります。
個人で勝負する
55歳で役職定年になったら「ラッキー」だとも言えます。会社の肩書ではなく55年間生きてきた自分個人で勝負できるようになったのです。
何も考えないで会社の名刺を配っていた時代は思考停止状態だったと考え、自分と向き合って個人で勝負できる領域、分野を見つけ出して育てて下さい。
勉強癖をつける
サラリーマンだからといって会社が終わったら、飲みに行って帰る、帰ったらTVを見てのんびりというのでは成長がありません。
自分が生涯続けようと決心した分野を徹底的に勉強する必要があります。昔からの傾向かも知れませんが、日本も学力格差が大きい国です。小学生前からずっと勉強を続けている人もいれば高校、大学ですら全く勉強せずに社会人になった人もいます。
社会人になってかも、コツコツと勉強する人と、当然のように全く勉強しない人がいます。この両者の差はシニア層になると大きく出てきます。
子供に勉強するように言うなら、自分自身が勉強しなければ、50代以降取り返しのつかない差になって出てきます。
シニア向けの教養講座などではなく、自身の専門分野をきちんと極めていくための教育・訓練を受け続けることが大変重要だと考えています。
いつの時代も専門性を持つ人は最後まで生き残っていきます。
生涯続けることのできる仕事に従事する
生涯続けることのできる仕事は、「会社に頼らず自分でできる仕事」です。
まずは、名刺の肩書ではなく、自分個人で何ができるのかをしっかりと考える必要があります。
55歳で役職定年になれば、その時点で自分個人で勝負することになります。名刺の肩書がなくなり、会社の威光が一切なくなりますから、周りから受け入れてもらえる人格や性格であることが最重要です。
生涯現役
少子高齢化の流れが止められない上に、人手不足感が強い日本になっています。この為、会社を辞めた後のシニア層こそ、第一線で活躍することが日本経済にとって大きなプラスになります。
シニア層は経験は圧倒的に豊富ですから、70歳を過ぎても最新動向をWatchしながら勉強を怠らなければ、実務で十分に「生涯現役」を達成できると思います。そして、これこそが充実した人生につながるのではないかと思っております。
65歳を超えたら、自営業として仕事を継続するのが良いと思います。法律の兼ね合いもあり、多くの企業が65歳までの雇用としています。一方で、優秀な従業員には65歳を超えても働いてもらいたい、という強いニーズがあります。
この為、65歳を超えると個人事業主として契約して仕事を継続するスタイルもあります。1社のみでなく複数の会社と契約すると仕事の幅も広がります。
まとめ
日本経済にとってシニア層の労働力は大変有効なものです。気持ちだけではなく、実働として「一生現役」を実現できる社会が必要です。
大げさではなく死の直前まで仕事ができるのが理想ではないでしょうか。仕事ができる、ということは生活も当然一人でできます。20代の若手と共に日々仕事をする生活を70代になっても続けたいものです。
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