雇用保険の被保険者資格の取得insured of employment insurance
概要
従業員を雇用した際に、まず実施しなければならない手続きに雇用保険の被保険者資格の取得があります。
雇用保険は、原則として週の労働時間が20時間以上となる従業員は強制的に加入する必要があります。(>>雇用保険の加入条件はこちら)
この取得手続きは、従業員が入社した日から起算して翌月の10日までに行う必要があります。
取得手続き自体は難しいものではありませんが、社労士に委託しない場合は、雇用契約書や労働者名簿などを持参して所轄のハローワーク(以下職安)で手続きを行う必要がありますので、社労士に委託された方が手間がかからず良いと思います。雇用保険の被保険者資格の取得届けは、多くの社労士事務所で比較的安価だと思います。
ちなみに、キャリアアップ助成金などの各種雇用関係の助成金は雇用保険の被保険者が対象となりますので、雇用保険に加入していない従業員さんでは支給対象になりませんので、ご注意下さい。
転職時の注意事項
さて、転職してきた場合ですが、従業員さんが前職で雇用保険に入っていたかどうかが分からない場合があります。もちろん、雇用保険被保険者証も持っていないし、被保険者番号も分からない、といった事もあります。
このような場合は、まず給与明細で「雇用保険料」の控除があるかを確認して下さい。「雇用保険料」の控除がある場合は、雇用保険に加入されていますので、可能であれば前職に被保険者番号を確認して下さい。
もう1パターンあるのが、転職時されてきた従業員の場合、雇用保険被保険者資格の喪失届けが前職で未提出の場合があります。
この場合は前職の会社が喪失届を提出するまでの間、こちらは取得できないので、待つことになります。
まずは、職安に取得届を出します。すると、喪失届が出ていない場合は分かりますので、職安から前職に連絡がいきます。すぐに前職が喪失届を出してもらえると良いのですが、数ヶ月間も届を出さない会社もあります。そうなると、こちらも取得できませんので、そのまま待つことになります。
雇用保険の取得申請は電子申請でできますので、全国どこの事業所さんの依頼も受けることができます。何かお困りの点があれば、>>こちらまでご一報下さい。
喪失届が出てなくて取得できない期間の扱い
前章で記載しましたこの期間も、雇用した会社(取得届を出している会社)は、雇用保険料を支払う必要があります。前職の会社が喪失届を出していないので、自社では被保険者資格が取得できていないのですが、それと保険料の支払いは切り分けて考える事になります。
したがって、週の労働時間が20時間以上になった時点から、雇用保険料を給料から控除し、会社が労働保険料として支払う事になります。実際は、翌年度の労働保険の年度更新時に、確定保険料として支払います。
被保険者資格が取得できた時点で遡って適用となりますので、被保険者本人は雇用保険料未加入期間はないことになります。
雇用保険被保険者証がない場合
雇用保険被保険者証がない場合は再交付申請書を提出し、再交付します。
添付書類の省略
社労士に委託した場合は、社労士自身が雇用契約書や労働者名簿などを確認しますので、職安に雇用契約書や労働者名簿などの添付書類を持っていく必要はありません。
この社労士自身が確認したことを証するため、「17条付記印」というのを被保険者資格取得届けに押印します。
電子申請になって押印自体はなくなりましたが、同様に添付書類の省略ができます。「事務省略」と呼んだりしております。
この様に、添付書類の省略や電子申請などで、事業主さんの負担を大幅に削減することができています。
当然ですが、職安に提出する必要がなくても、社労士が雇用契約書や労働者名簿などの必要な帳簿類は必ず確認する必要がありますので、コピーを渡すなどして下さい。こうすると、すぐに申請することができます。
紙の申請の場合は、都度事業主さんの押印が必要で社労士印→事業主印→職安→事業主控えの手渡し(郵送)の順でスタンプラリーをする必要がありました。
これが、電子申請になると、事業主印も不要になり、全てがコンピューター上で完結します。電子申請による時間短縮は相当なものです。
こうなると、ノマド的な社労士が出現しそうですが、実際にはまたまだ電子申請できる書類は少ないので、役所へ足を運ぶ機会は多く残っています。ノマド的な社労士というよりは遠方のお客様の仕事をする上で、もっと電子申請ができる範囲が広がれば良いと願っております。
どこの社労士事務所も雇用保険被保険者取得届けは比較的安価ですし、顧問契約をされている場合は顧問料に含まれることが多いと思います。ぜひ社労士をご活用下さい。(お問合せ&依頼はこちら)
雇用保険被保険者資格取得は週20時間の以上働く従業員を雇用する都度発生し、単純な手続きに見えますが、意外と色々とお作法があります。
なにかありましたら、社労士さんにご相談頂くと良いと思います。
>>ご質問などはこちら。