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無駄な残業の廃止useless overtime

はじめに

所定労働時間である7時間30分/日を超えて働くと、超えた部分が残業時間となります。また、会社が休みの日に働くと休日労働となり、これも残業と同じ扱いになります。

今回は、この残業の中身を見直し「ムダな残業」をなくしていく為の考え方を記載します。

残業を一律に減少させることはできません。近年、「働き方改革」で長時間労働や過労死が問題になっていますが、残業=悪、ではありません。必要な残業は積極的にこなしていく義務があります。
無駄な残業=悪」ということです。

次章以降で、ムダな残業のパターンを列挙して説明しますので、自分に該当する箇所があれば厳しく見つめ直し、日々改善して欲しいと思います。

ムダな残業の種類




名称  概要 
 付き合い残業 誰かが帰るのを待っている残業。定時直後に帰るのは抵抗がある職場の雰囲気。
 ダラダラ残業 昼間は立ち話などで時間をつぶし、夕方から忙しい感を出して遅くまで残っている残業。
 生活費残業 生活費を稼ぐ為に仕事の有無に関わらず一定時間まで会社に残っている残業。
 能力不足ごまかし残業 自分の能力や業績が不足している場合に、長時間労働することで頑張っている感をアピールする残業。
 自己満足残業 必要以上の品質を求めて時間をかける残業。仕上がりに対する自己満足感が強い。
 抱え込み残業 仕事を他人に取られたくないので、ひとりで抱え込んでしまう事でおきる残業。
 居場所がない残業  会社以外に居場所がないので、毎日一定の時間までダラダラと会社にいる残業。



付き合い残業

これは日本人に多い残業のパターンだと思います。上司や部下の仕事が終わるまで待っている、みんなで仲良く帰る、というものです。

欧米では、社員の仕事を明確にする「ジョブ・ディスクリプション」があります。これにより、各自の仕事内容が明確になっていますが、この様な文化がない日本では、先輩が残っていると帰りにくい、という風潮が生まれます。

例えば17:00が定時の終業時刻だとすると、
チャイムがなっても誰も席を立たず、何もなかったかの様に仕事を続けます。そして、1時間が経過した18:00頃から、少しずつ帰る人が出てきます。これが毎日繰り返されます。

これは、冷静に考えれば異常な事です。
仕事が1日当たり「所定労働時間+1時間」できっちり終わるように設定されている、という事ですが、この様な事はありません

定時後1時間程度経過して少しずつ帰り始める職場は要注意です。

1時間程度の仕事残であれば、翌日集中してこなせば、十分定時内に詰め込んで完了させることができます。

定時で帰るのはいくらなんでも抵抗がある、なので1時間程度経ってからだと帰りやすい、という雰囲気がある職場です。これはおかしな話ですよね。

定時のチャイムが鳴れば、1時間程度の残作業があっても翌日集中してやるべきで、さっと帰る必要があります。どうしても本日中に完了させなければならない仕事を抱えている人だけ(数人だけ)が残るというのが、本来あるべき姿です。

残った数人は、業務が完了できるまで2〜3時間以上かけてやり切る、というのが正しい職場でしょう。

ダラダラ残業

これは日中の定時時間内は、比較的ゆっくりして同僚との会話などに多くの時間を充てており、お茶を飲みながらゆったりとした雰囲気で過ごします。自席にいることも少なく、休憩中なのか会議中なのか分からない人もいます。

また、中には日中ウトウトしており、午後から定時までは、ほぼ仕事が進まない人もいます。

そして、
夕方の定時前になると急に慌ててバタバタと仕事をしている風を装います。中には、夜の22時頃まで会社に残っている人もいます。こうして、定時後は本当に忙しいという雰囲気を出して仕事に精を出している様に見せます。

では、定時後は何をしているのかと言えば、仕事は皆が帰宅する20時頃までで、それ以降は、ビジネス書を読んだり、遅くまで残っている人と話をしたりしながら終電間近までダラダラと居残っているだけです。

この様な社員は、能力も業績も悪いため、いずれ淘汰される事になります。

生活費残業

これは、生活費を稼ぐために残業をしているパターンです。月に何時間残業をしなければならない、と決めているので仕事量や進捗に関わらず必ず残業します。
中には
給料が一定額を超えないと奥さんに怒られるから、という理由を堂々と話す人もいます。

しかし、長時間働いて多くの給料をもらう、という考え方は、そもそも間違いです。1日は24時間しかありませんので、労働時間を増やすことで給料を増やす、という考え方ではどこかで限界がきて破綻します。

では、どうするのか。給料を上げるには時給を上げる必要があります。時給を上げるには、昨年に比べて能力や業績を向上させる必要があります。

時間で稼ぐのではなく、時給で稼ぐという考え方を強く持つ必要があります。

会社に残って、生活費の為にダラダラと仕事をするのは給料を上げる事とは正反対の事をしています。より効率的に、より早く高品質にするのはどうすれば良いのかを日々考えて実践していく必要があります。

能力不足ごまかし残業

これは、自分の能力や実が周りや他部門と比べて劣っている場合に、長時間会社にいることで、能力不足や実績不足を補おうとするものです。

例えば、売上がたたない営業職などです。同僚と比べて営業成績が悪いと、早く帰りづらい、ということがあります。
しかし、営業成績が悪いから、やることもないのに会社に残っていてもムダな時間が過ぎるだけです。

この様な場合は、上長と相談するなどして営業成績を上げる方法を考え実施することが必要であり、意味なく会社に残っていても何も解決しません。

また、本社部門にも多く見られる残業パターンです。本社部門は、売上や製品開発などと直接関わっていませんので、業績が測りにくいという特徴があります。この為、誰よりも早く会社に来て、誰よりも遅く帰る、という「長時間会社にいる」ことで、存在をアピールする人がいます。本社の管理職に比較的多く見られます。
これも、ムダ以外の何物でもありません。

自己満足残業

これは、求められている品質以上を追求して残業するパターンです。休日出勤して資料のフォントサイズを調整したり、レイアウトを修正する様な人です。

品質を向上させることは素晴らしい事で、企業活動には必須です。ただし、全ての仕事には、売上と利益があります。受注後は原則売上額が変わりません。すると、働けば働くほど人件費が上昇しますので、利益を圧迫します。仕事すればするほど、利益が少なくなる、やりすぎると赤字になる、という事です。

求められている品質を出すことは絶対条件です。もし、品質が達成できなければ当然利益度外視で何がっても達成しなければなりません。

しかし、一方で求められている品質以上を追求して利益を圧迫することは仕事としては正しい姿とは言えません。

また、性格的に回りくどい人も、長時間労働になりがちです。理屈っぽい性格で、何かにつけて、定義から始めないと気がすまないタイプです。人に質問を繰り返して追い詰めていくタイプです。でも自分から解決策は出さない、などたちの悪い性格の人が該当します。この様な人が先輩や上司にいると、当人も部下も定時内に仕事が終わりません。

仕事は「答えを出すこと」であり、「理屈をこねる」事ではありません。

集中して仕事をすると1日8時間はあっと言う間に終わります。常に8時間で仕事を終える気概を持っていないと、すぐに定時になってしまいます。注意して下さい。

抱え込み残業

これは、自分の仕事を囲い込んで、同僚に取られないようにしている状態です。

仕事を取られると自分の存在価値がなくなると思ったり、他の仕事をやりやたくない場合などです。

仕事を共有することもなく、誰かに技術継承することもなく一人で抱え込んでしまうタイプです。コミュニケーションを取るのが苦手な人にも起こりやすいパターンです。

夜遅くまで一人で黙々と作業をしているが、上司を含めて周りの人は、何をやっているのか把握出来ていないので、サポートができません。また、本人もサポートを望んでいません。しかし、この様な人が会社を休んだ場合、誰も業務が分からず混乱することがあります。組織で仕事をする、ということは誰かが休んでも対応できる組織力がある、ということです。

会社で仕事をする以上、仕事を抱え込んではいけません。組織力、という概念を常に意識して仕事をする必要があります。

まずは、業務改善の一環で、ブラックボックスとなっている作業の「見える化」を行い、何をやっているのか、を誰でも分かる状態にすることが第一歩となります。

居場所がない残業

会社以外に居場所がなかったり、自宅より会社の方が居心地が良い場合、などに起きるパターンです。

仕事があるから会社に残っているのではなく、単に一番居心地が良い、という理由だけです。会社の居心地が良い、というのは決して悪い事ではありません。近年メンタルヘルスが重要になっており、精神疾患で休職する社員が増えています。この様なパワハラ上司のいる企業と比べると、雲泥の差があるほど良い職場と言えます。

しかし、職場は仕事をする場所ですから、プライベートとの区切りは付けなければなりません。

一方で、近年「働き方改革」で残業時間が短くなっていますが、早く退社しても帰宅するのが気まずく、また行くところがないサラリーマンがいます。この為、街をフラフラ徘徊することになり、「フラリーマン」と言われて話題になっています。

この様な事態を避ける為に、会社でサークル活動などを行うのも良い考えです。このサークル活動は、仕事とは全く別のプライベートな活動です。会社によっては野球やサッカーなどのスポーツをしている所もあれば、資格取得などの勉強会をしている所もあります。

まずは、仕事と「仕事ではないけど勉強などで会社に残っている」場合とを明確に区別して、必要に応じて「会社にいるけど仕事ではない」状態をきちんと作ることが重要です。

新人に多い仕事の非効率さ

新入社員から入社3年目程度までの社員や部署異動直後の社員の場合、仕事の方向性が間違っていたり、計画性がなかったりします。ただ、これは「ムダな残業」とは違います。

もちろん、社会人としての基本である「報・連・相」が、きちんと出来ていれば仕事の方向性や計画性も正しくなりますが、実際はそう簡単にはいきません。

この為、新人が仕事に慣れるまでの非効率さは、ムダな残業からは除外します。

20代前半は仕事を1日でも早く覚えなければならない時期です。仕事ができるようになるには、一定の期間は仕事に全力で集中することが必要です。この様な時期を経ることなく仕事ができるようにはなりません。気力も体力も充実している20代は、特に仕事を覚えるには最適な時期なので、パワハラなどのメンタルヘルスに十分注意をした上で、ある程度の長時間労働は容認する必要があると思います。

まとめ

常に働き方、仕事のやり方を見つめ直して、品質を向上させながら短時間で効率よく仕事をする癖を付ける必要があります。

例えば、前年に1時間かかっていた作業が、今年も同じ様に1時間かかるとすれば、人として全く成長していない事になります。この様に何年経っても同じ作業に同じだけの時間がかかるのであれば、当然給料は増えません。能力が上がっていないので、年齢給の部分が僅かに増額される程度です。

自分の能力や業績を伸ばす事で、会社の業績が伸び給料が増えるのです。長時間働いて給料を増やすのではなく、自分の能力を高めて給料を増やす、ということを徹底して下さい。




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