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残業時間の削減方法reduction of overtime work


残業時間の削減方法

概要

「働き方改革」により残業時間の削減に取り組んでおられる会社も多いと思います。

ただ、「どこから手を付けたら良いのか分からない」、というのが正直な意見ではないでしょうか。

残業時間の多い、少ないは企業の文化と個人の性格に依る部分が大きいのも事実です。

この為、大上段に構えると議論ばかり先行して実行に移せなくなりますので、まずはすぐに着手できる所から初めて見るのが良いでしょう。

そこで、今回は、残業時間削減の具体的な取組ついて説明します。

全て取り入れることは難しいと思いますが、自社にあった部分、導入できそうな案から順に導入していくと効果的です。


具体的な削減案

残業時間の削減には各社取り組まれていますが、これが一番、という方法が確立できているわけではありません。

以下実例を列挙します。次章以降で具体的に説明します。


残業代削減への具体的な取組み

@工数で案件別に予実(収益)管理する→コスト意識と管理
A「今日は定時で帰ります」カード
B定時日の安全パトロール
C業務の効率化→社内文書の簡素化
Dプロジェクトマネージメントの導入
E収益管理部門の設定(実施部門又は営業部門)
FRPA(Robotic Process Automation)の導入
G行動規範の作成
H従業員教育(啓蒙活動)
I従業員へのアンケート(ヒアリング)
J残業時間上限の誓約書
K残業時間上限の宣言書
L残業削減月間の設定




受注単位での収益管理

受注した案件単位で売上、コスト、利益を管理します。アメーバ経営を簡略化して導入したイメージです。
この様に、小さな単位で管理会計的に管理することで、人件費の抑制に繋がります。

この制度を導入されている会社の業績は良い事が多数あります。


「今日は定時で帰ります」カード

定時で帰る日に、このカードを机に立てておきます。

このカードは全従業員が週1回以上使用すること。
このカードを机に置きます。置くと必ず定時することになります。
もし、このカードを置いて定時を超えていたら、周りが声をかけます。そして急ぎの仕事であれば上司や同僚が替わりに行います。急がないのであれば翌日にまわします。

何時に帰るかを書いて机に立てるやり方もありますが、この方法だと「パッと見て分からない」という問題があります。


定時日の設定

否定的な意見もありますが、やはり定時日の設定は労働時間削減に効果があります。定時退社日に安全衛生委員などがパトロールを実施している会社も多くあります。


深夜労働の禁止

長時間残業が状態化している企業では、まず夜の22時までには全員帰宅するというルールを作ります。これだけで大分違います。

終電などを気にせずダラダラと会社に残っている人は意外に多いものです。特に管理職では、「夜の会社が落ち着く」という方もいらっしゃいます。


休日労働の禁止

こちらも昔からある典型的な労働時間削減手法です。休日に1日出勤するだけで+8時間の残業になり、総労働時間に大きな影響を与えます。

この為、休日出勤を禁止するだけでも総労働時間の削減には大きな効果を生みます。


有給休暇の取得促進

有給休暇は最大で年間20日あります。全て取得すると、ちょうど2月1ヶ月分に相当します。2月をまるまる仕事しない月になるのとフルで働くのでは相当に労働時間が違ってきます。

先程の「休日出勤の禁止」と同じ様に考える事ができます。

時代の流れとして、有給休暇を取得する方向は変えられないと思いますので、


プロジェクトマネージメントの導入

コスト管理の導入、収益管理部門を設定するなど、1案件を1プロジェクトとして管理します。
仕事は売上だけではなく利益を確保する事が必達です。この点から見ると、仕事をすればするほどコストが増えますので収益が悪化します。
コストを管理する者がいなければ、無限に仕事が増えて利益を圧迫します。


残業削減月間の設定

リーマンショック時に、人件費を削減するために一斉に残業禁止になった時期があります。外注費は一律数%の削減依頼を出して人件費は残業を全てカットして乗り切った企業も多くありました。この時は業務に大きな混乱はありませんでした。

「明日でも良い仕事は今日しない」との標語も合ったくらいです。

もちろん、時代背景や景気も違いますが、全社の方針として残業時間を切り詰める事は可能ですから、特に閑散期には残業禁止月を設定するのが良い方法です。


コミュニケーション力の強化

仕事を効率的に進める上で、社内外問わず人とのコミュニケーション力は大変重要です。


業務改善

業務改善を残業時間を削減する上で大変有効な手段です。近年はRPAなどの導入が進んでいます。
中小企業の場合、RPAの前段階となるExcelも十分に使いこなせていない場合も多いため、手計算や集計作業をExcelでやるところから始めるのも良いでしょう。


無駄な資料作成をやめる

企業規模の大小を問わず「無駄な資料作り」というのは存在します。特に無駄なのが「社内文書」です。

無駄な資料のバロメーターとして、何人の人が何分見るのかです。
絶対に廃止べき資料:
資料を見る人数X資料を見る時間<資料作成時間

例えば4時間かけて資料を作成して、4人が10分見る場合です。合計で40分しか資料を見ていません。

この様な場合、「いや、部長が見るから。」「役員会の資料だから。」など役職が上の人が見る場合、下の者は相当な時間をかけて資料を作ります。

これが日本企業の競争力を下げている源泉です。

日本の労働生産性は著しく低く、米国の2/3しかありません。日本単独で見ると年々労働生産性は上昇しているにも関わらず、依然として米国の2/3です。

この様な状態では日本は、ますます衰退していきます。

資料を見る人数X資料を見る時間<資料作成時間
となっている資料を全て洗い出し、即時に既存資料で代用するべきです。

特に参加人数が何人でも10分以内で終わる議題であれば、資料作りに1時間もかけてはいけません。
ありあわせの資料で代用して、多少見にくくても、既存資料のみで話をするべきです。

【社内向け無駄な資料作りを止めるチェック】
@資料を見る人数X資料を見る時間<資料作成時間としない。
A10分以内の議題は資料を新規で作らない。
B色やレイアウトは一切修正しない。
C事前チェックは誤字脱字程度で日本語の修正はしない。



従業員教育(啓蒙活動)

会計知識の教育をベースに、売上と原価、利益の関係を丁寧に説明し、コスト意識を全従業員に持ってもらう様にします。

仕事はすればするほど、コストがかさみ利益を圧迫します。仕事がある=利益がでる、ということではありません。

自分の仕事が利益と直結しているか否かを常に意識することが必要です。

会計の知識は理系(技術系)のエンジニアでも十分に理解できます。
中小企業大学校などでも収益性の講義がありますので、利用すると良いでしょう。


従業員へのアンケート(ヒアリング)

1日の仕事(時間単位)+1週間の仕事+1ヶ月の仕事+1年の仕事、と明細を書いていき、何をしているのかを洗い出します。

こうすると、多くの無駄な仕事が出てくると思います。要するに「何の為にやっているのか今ひとつ不明確」な仕事です。

例えば、仕事の担当が変わって引き継ぎを行っていると、必ず何項目かは「不要ではないのか」と指摘されます。日常に埋もれて疑問に思わずしていた業務が客観的に見ると無駄だった、ということが分かる良いタイミングでもあります。


まとめ

今回は、多くの事例を総花的に紹介する記事になりました。個々の事例については、いずれ紹介したいと思いますが、ご興味のある方はお問合せ下さい。







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