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個別労働紛争の流れLabor dispute

個別労働関係紛争の流れ

概要

従業員から労務関連の不満や申立てがあった場合や、会社が従業員の就業規則違反や背任行為を見つけた場合、どの様に解決していけば良いのでしょうか。

ここでは、
労使双方でトラブルが発生した場合の解決の流れを説明します。社内の話合いから始まって現実的な落としどころの見つけ方、こじれた場合、最高裁までどの様に進んでいくのかを見ていきます。


全体の流れ

解決のの流れは大きくは下記となります。下記は典型例ですので、この通りにする必要は全くありません。

解決の流れ

Step1)社内での話合い
Step2)相談窓口(社外)
Step3)助言・指導(労働局)
Step4)あっせん(労働局)
Step5)労働審判(裁判所)
Step6)通常訴訟(裁判所)


以下の章で詳しく解説します。


社内での話合い

まず、最初は社内での話合いになります。ここで解決できるのが労使供に一番幸せな良い形です。

従業員の場合は、これからも会社で仕事をして行きますので、なるべく
大事にせずに納得できる形にするのが一番良いです。また、既に退職された方でも禍根を残すのは良くありません。

ここで解決できない場合は、次章以降の様に労使以外の第3者が入ってきます。状況によっては、労使双方に気まずい雰囲気を残す事にもなります。


相談窓口

労働基準監督署や社会保険労務士会などに設置されれている無料相談コーナーに相談に行きます。

ここでの相談は、法的に違法性がないか、就業規則等に違反していないか、などを中心に相談に乗ってくれます。
ここで解決策が見つかることもあれば、労使双方での交渉が必要になる場合もあります。


助言・指導

労働局の相談窓口に行くと、「助言・指導」を紹介される場合があります。この「助言・指導」は、会社に労基法違反がない場合でも労働者との話合いを取り持つことがあります。

料金は無料です。

「助言・指導」という表現から、労基署から監督官が来て、何か指導をうけるのか、と思われますが全くことなります。

どちらかと言えば、
「相手方から、〜〜〜との希望がありますが、相談されますか?」という提案程度のものだと理解頂ければ良いかと思います。

また、労働局から「助言・指導」を受けるかどうかの電話がありますが、受けなくても問題ありません。

受けなくても一切ペナルティはありませんし、受けなかったことを理由にして監督官が臨検に訪れる様なこともありません。

また、「助言・指導」を受けることにしても労働局に出向く必要はありません。あくまで労使双方双方による話合いを持つ、ということだけです。

話合いの結果は労働局に伝えます。


あっせん

これは、上記の「助言・指導」で合意が得られなかった場合に、次のフェーズとして実施されるものです。こちらも料金は無料です。

これも、相手方(従業員または会社)からの申入れに対して受ける必要はありません。「あっせん」をしない旨を労働局に伝えると「あっせん」は実施されません。

この
「あっせん」まで来ると、労使双方が労働局に出向く必要があります。そこで、専門家で組織されるあっせん会場で話をすることになります。ここでの専門家は、弁護士、大学教授、社会保険労務士などです。

「あっせん」は、労使双方が労働局に出向く事になりますが、裁判の様に同じ会場で顔を合わせて話をすることはありません。別々の日にあっせん会場に行って話をします
この点、顔を合わせることがないので、ある程度手軽に利用できると言えます。


労働審判

ここから司法に話合いの場が移ります。裁判となると次章にあるように地方裁判所から始まって高裁、最高裁と続く3審制が採用されている訳ですが、その前段階として労働紛争に関して実施される「労働審判」という制度があります。

これは、
労使間の争いを迅速に解決する為に設けられたもので、最大3回までの審理で完結します。

「あっせん」と違い、労使双方が同じ会場で顔を合わせて話合いを行います。

労働審判からは弁護士を代理人にたてて行うことになりますので、弁護士費用等がかかってきます。労働審判を起こす場合は、請求額と弁護士費用との兼ね合いをどうしても意識することになります。

ただ、労働問題専門の弁護士に相談すると、今まで問題だと思っていた点と全く異なる箇所で違法性が見つかったりします。

依頼する弁護士の専門分野にもよりますが、労働法が専門の弁護士であれば、話を聞きながら雇用契約書や就業規則、賃金台帳、出勤簿などから、労基法違反やグレーな箇所を見つけて、そちらを論点にする可能性があります。

訴えられる側からすれば弁護士が出てくると、思ってもみなかった点を付かれることになるかも知れません。


通常訴訟

これは、地裁→高裁→最高裁と続く通常の訴訟です。当然、代理人に弁護士をたてて行うことになります。
裁判所で行うもので、和解になれば良いですが、もし判決が出ると判例で出る可能性もあり、避けたい所です。


まとめ

実際には、従業員と会社(事業主)との間のトラブルが発生すると、必ずしも、この記事の流れで話合いが進む訳ではありません。

ただ、従業員(元従業員)の皆さんからすれば、この様に各種制度があることがご理解頂けたと思いますし、会社(事業主さん)からすれば、いきなり労働局から「XXさんの件で話があります」と電話がかかってきても慌てずに冷静に対処できると思います。

いずれにしましても、
もし労使間でのトラブルなどがありましたら、まずは社会保険労務士事務所にご相談頂くのが良いと思います。

弁護士事務所や労基署の敷居が高いと感じる方も、社労士事務所であれば手軽に連絡することができると思います。

ほとんどの社労士事務所で、電話をすれば社労士が丁寧に対応してくれると思います。
気負わずに気になることがあれば、お気軽に社労士事務所までお問合せ下さい。
なお、社労士事務所には無料相談を設けている所も多数あります。



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